漆喰壁の補修DIY

古い小屋(昭和7年築)の漆喰壁が、一部で大小崩壊して中の土が見えていて気になっていました。

以前は大きく崩壊した部分の内部の土壁にしか注意がいかず、崩壊した壁土を回収して、庭の土を混ぜ、切った藁を加えて(つなぎの役割)、練ったものを、軽くえぐれた部分に塗り込んで補修をしたことがあったのですが、出来としては、中途半端で乾燥して固くはなりましたが、既存のものときれいに繋がっておらず素人補修という感じでした。事前に濡らして結合を良くするとか、やり方に改善の余地は大いにありますが結局、中途半端にしかならないと思います。肉材としてどうしても埋めなければという理由がなければ後述しますが漆喰補修でどうにかなります。

実のところ、見た目を気にしなければ、漆喰が一部剥がれ内部の土壁が見えても構造上は問題ありません。ただ、崩壊した漆喰や土が床面に落ちるというのは、特に屋内では気になります。見た目と土の放出が問題です。壁が傷んでも放置している古い家屋はよく見かけると思います。

我が家も同じように、放置していました。今では、エアロバイクを置いて実質、ジム小屋となって頻繁に使用していますが、本来は作業小屋であり二階で蚕の育成、一階で精米などをしていたようです。それが使わなくなって長年、物置小屋となっていました。

家族の世代交代があって、死蔵となっているほとんど不要なもの(戦後昭和の機能不全を象徴するようなものたち)を処分、整理して、とりあえず、空間を作れたのは振り返ると最近のことだったりします(2019年・写真は一部)。

物置の用途から、エアロバイク置き場となる経過で、一応電気配線が一箇所あるから、照明とコンセントを十分なものへ拡張する工事、土埃が入ってきてしまう屋根裏の通気口をすべて塞いだりしました。今でも、隙間のある木窓で通気はイジる必要があるのですが、とりあえず落ち着いています。

そして、エアロバイクを使っている時、壁の一部に見える露出した土壁部分が気になったので、補修という流れです。

なぜ、こんな小屋の歴史まで語っているのかですが、機能上問題ないレベルの壁の補修は、優先順位が低く手がつけられません。手がつけられない家は、管理機能不良になっている可能性が高いです。壁の補修ができても、細かいところ次にやるべきことは出てくるのですが、できていない場合、(私の経験から漠然とですが)何かしら集団に問題があるように思います。

(作業について)

白い壁の補修というということで、ホームセンターで漆喰の補修材を買ってくるのが普通なのですが、数年前にリビングのリフォームをして壁を壁紙(クロス)から珪藻土にしてもらいました。その時に、工務店の人が、余っちゃったのでなにかの時に使ってくださいということで箱に新品の珪藻土1kgと水に溶かして湿った状態の珪藻土2袋が強くゴムで締められて入っていました。練り込んであっても水分が飛ばなければ数年間固まらずに保管できるというのに驚きました。ただ、漆喰と珪藻土は似ていますが、違いがちゃんとあり、小屋は漆喰ですべて補修することにしました。これは後でわかりますが良かったなと思います。

まず、下準備で、清掃です。触って簡単に崩落する部分は、漆喰・土共に手で触って崩して除去します。その後、卓上箒で清掃します。

主に階段側の状態が悪いのですが、原因は雨水によるものです。本来軒下の漆喰壁は、内・外壁共に状態が良ければ何十年と持ちます。横雨などで濡れてもすぐに乾くのであれば問題は無いようです。階段側で何があったかというと、外壁に密接して掘立小屋を増設していたため、その屋根に当たった雨水がはねて外壁を濡らして乾燥も妨げていたのが原因で、小屋の二階部分の下部が膨張し内部で沈み込みが漆喰の剥離が起きていたようです。(掘建小屋はかなり前に解体して無くなっています)。

どこまで、漆喰を取り除くべきかですが、多少ぐらつきがあっても上塗りで漆喰を塗ってしまうとかなり強固に固まって安定化するのでほどほどでいいみたいです、触って簡単に落ちるような部分(漆喰・土)は必ず落としておいてください。

ホームセンターには、補修用漆喰としてコメリで1KGインスタント漆喰を購入しました。場所によっては、4KGしかなかったりしますが軽度の補修で使い切れる量ではありません。

容器は、プラスチックの洗面器を最初使っていましたが、後半はトロ舟と呼ばれるコンクリ用の専門品の持ち合わせがあったのでそれを使っていました、四角で丈夫で使い勝手は良かったです。

左官ごて(こて)は、とりあえず中型のものを持っていましたが、小さい補修では、指の長さ程度の小型のものが最適です。中型は、大きな補修箇所で使うので両方必要です。

片手で使える噴霧器が必要です。直前(本来もっと湿らせたほうが良かったらしい)に壁を濡らして漆喰の付きを良くする、練った漆喰は時間とともに固くなるので水分を加える、2つの役割があります。

漆喰は、強アルカリ性で(おそらく長時間)手に触れると皮膚が溶けて赤くなるようです。でありながら、素手で作業をして失敗という報告があるので、ある程度皮膚に触れてから時間が経つと溶けるようです。触ったら即溶けるわけではないと思います。

漆喰塗り作業を、子供に手伝わせたり、普段着・素手で塗っていたりしますが、危険をわかっていないんだと思います。

この情報を知っていたので、使い捨てのニトリル(ゴム)手袋を、漆喰作業の開始から終了までずっと装着していました。

服装は、作業服(ツナギ)、帽子、クリアサングラス、長靴で完全防護状態です(マスクを忘れていた)。

とはいえ、漆喰の粉末を容器に出す時、水と混ぜる時に、粒子が非常に細かく空気中に舞っていたのは見えたので目に入ったし、肺で吸ってしまったのは間違いありません。

作業後は、すぐに脱いで洗濯、洗浄をすべきです。幸い、作業による身体の異常は私の場合なかったです。

ジェラート状の柔らかさを目安に、水を加えてテコで練ります。最初、具合が全く分からなかったので、こわごわ袋の半分だけ使って試してました。

壁に噴霧して濡らしたところに、テコに乗せた漆喰を練り込む感じです(コテ受台というものは使わなかった)。練り込んでから平にしたいのですが、実際のところ、最初の練り込みで、一気に水分が抜けて半固化する感じで、少量練り込みから微調整、また少量練り込み微調整ずっとそんな感じでした。伸ばせません。素人の仕事、凸凹で汚いなと、本職が真っ平らに仕上げているのと比べて下手だなと思いますが、あれは無理です。きれいな下地と、職人の技術、最適な道具全部揃ってできることで、素人には無理。より工夫して、平らでキレイにできる方法はあるかもしれませんが、私はもうこれでいいという感じになりました。

作業として大事な点は、数回やっているといくら面を平らにしようとしてもできなくなります。原因は、テコの裏面に漆喰がくっついて盛り上がりができてしまうためです。そのため、ほぼ毎回、裏面をこすり落とす動作をする必要があります。その点、洗面器だとできなくはないですが不向きです。

小さな補修で、(この小屋では)漆喰壁の下部に3mmほど出っ張ったコンクリート壁、壁横に隣接する木柱に余分な漆喰がくっついて見た目を悪くしたり、練った漆喰で穴からこぼれ落ちたものが床に落ちたりします。マスキングテープを使ったり、プラ下敷きを挟んで作業をするなり工夫すれば効果が出そうですが、後から削ったり拭いたりで済ませることもできるので根気があれば手間(思い通りにならなかったり大変)をやったほうが後で後悔することがないかと思います。

大きな補修では、外側から埋めていくことになります。土肉がないところでもそのままくぼんだ感じで漆喰が塗れるので、くぼみを気にしなければ埋める必要がありません。土壁の補修が、必要とならないのはこれが理由です。

小屋内壁で、漆喰1KGを2袋。別の外壁で、使用途中の珪藻土2袋(1.5KG程度)。小屋外壁で漆喰1KG。別の外壁の仕上げで漆喰1KGという使用量でした。乾燥後の様子を見たりしながらなので、日を空けながら4-5回作業をやったことになります。

雨戸7割の土壁が露出している別の外壁があるので、余ればそこで使えばいいという気持ちだったので使い切りを意識することがなく楽でした。くぼみ部分に再度厚塗りをすれば、使い切りは容易だと思います。

ここで失敗したなと思うのは、補修箇所の把握が甘く、後からここもやっておけばと思う箇所が出てきてしまいました。厳密に、どこを補修しないといけないか把握しておく必要があります。

結局、珪藻土1KGの新品はそのまま在庫として残っています。

珪藻土は、素手で触って大丈夫なので扱いやすかったです。珪藻土自体に粘着力がないので水を足す時に付属の接着液が必要です。見た目は、漆喰の漂白色より柔らかい白色で粒子が荒く砂のように見えます。職人の仕上げたリフォーム壁は、きれいなもので漆喰と直接見比べなければ気になる点は無いと思います。あと漆喰は触ると状態によって粉が付く感じですが、(新しい状態では)珪藻土に粉吹きはありません。

(左)の小さい茶色が露出した土壁

(左)2階壁は下部が膨張、漆喰が大きく剥がれています。(右)くぼんだ状態で塗り固まっています。

初の素人DIYでは、こんな波打った感じにしかできないと思います(古さや凹凸で同じ状況の記事はない感じです)。

なので、自宅の室内DIYで漆喰壁やりますというのは、仕上がりがきれいにならずその状態で我慢して暮らすのは嫌だと思うので、失敗・後悔している人は結構多いんじゃないかと思います。居住空間は、本職にしっかりやってもらうのをおすすめします。

きれいにやれている記事はありますが、塗り面積や数回塗りで時間がかかって大変でしたという軽い感じなのが信じられません。

(トイレのリフォームで、せっかくなら内壁を自分で塗ってDIYしたいという意欲ある家族の方にやらせたら、思い描いていた仕上がりにならず、結局、プロの人にやってもらう事になった話を聞いたことがあります、よくあることなんだと思います。↓これが自宅のトイレ壁だったら毎回見るたびに、本職にやってもらうんだったと思うはずです。)

別の外壁です。上部が珪藻土。下部が漆喰となっています。

数回やって慣れてきたので、下部の漆喰は塗りが少し平ら感が増しています。

という仕上がりです。外壁は雨水の侵入防止で大きめのヒビ割れも補修する必要があります。

見た目、素人がDIYで補修した感がありありですが、土壁が見える状態よりも清潔感があり印象は悪くありません。

色としては、時間とともに差異が収まってくると思います。

凹凸は気になりますが、費用(材料費)は安く、素人仕事としてはよくできたDIY補修です。

本職に頼めば、簡単きれいにやってくれる可能性はありますが、今回の状況だと、自分でやってみるだけの価値はある気がします。

家周りで、土壁が露出している場合、漆喰補修は可能です。

この状況だと、全面を上塗りすれば(色については)古い壁が隠れてきれいになるのですが、職人が真っ平らに塗った壁に、素人塗りをすると、完成度が著しく落ちるのでやらなほうが無難です。怠けているのでなく、ここまでで止めておくのが正解です。

微調整として紙やすりで、黒い部分を削ったり、波打った面を平にしたりをやろうとしたのですが、どうも、逆に目立ってしまいやらないほうがいい感じです。

仕上げとして必要だったのは、乾いたタオルによる拭き作業。漆喰壁全体が長年の蓄積により軽い埃汚れがあり、拭くと確実に少しきれいになりました(箒ではここまで落ちない)。また、塗った漆喰の薄い部分が拭き取れ補修箇所が小さくなりました。最後の仕上げとしてのみ乾燥タオル拭きをやるか、最初の清掃時と最後の仕上げの両方で拭くのか、どちらでも良いと思います。

写真を見ると、穴の補修(パテ)として最小限の埋めだけやるのが目立たず理想的ですが、やってみるとそう狙ってできないと思います。