京都アニメ放火事件による携行缶ガソリン販売と廃棄への影響について(2023年)

22019年の京都アニメーション放火殺人事件により、消防法が改正され、ガソリンスタンドでの携行缶への給油にいろいろと制約がつきました。

馴染みのない人がほとんどだと思いますが、農業用耕運機、刈り払い機の燃料として、ガソリンが必要で、赤い金属の携行缶(樹脂製もあり)というものにガソリンスタンド(以下GS)で給油して自宅で使ってました。他、自動車、発電機などで用途がある様です。

 

 

事件前は、セルフスタンドで、自分で自動車(軽トラ)の給油ついでに携行缶にも給油できて特に負担を感じることはありませんでした。

2020年の法改正により、購入者は

①身分証の提示

②使用目的の確認

GS側は

①身分証の提示

②使用目的の確認

③販売記録の作成・保管

が義務となりました。

購入者からすると、免許証を提示して使用目的を言って自分で給油できればそれほど負担では無いですが実際は違います。

まず、販売記録の作成のために、書類を書くことになります。購入者側の義務ではないのですが、GS側で購入者の住所と氏名を書くのは大変なので購入者が書くことになります。購入量は店員さんが書きます。(私の利用した)エネオスでは、以前に携行缶での購入履歴があると記入作業は不要になるのを確認しました。

その後で、店員さんが直接、携行缶に給油をする義務があるらしくやってもらうことになります。セルフ給油所で店員さんが給油する必要があるので、自動車の給油と会計が別なのも面倒があります。最後に、購入目的を聞かれサインして終わりです。書類会計と給油作業で2名の店員さんを拘束することになりかなり面倒な作業です。

セルフでなくフルサービスのスタンドだと客数も少なく給油の延長作業なので、高齢者には向いています。

この手間があるので、店員さんも気づかいないフリでこちらで以前の様に自主的にやってしまえば面倒がないなと思ったのですが、消防法違反になるのでGS側で見逃すことはないようです。そもそも、セルフスタンドは給油開始は従業員がカメラ監視していてボタンで問題なしと許可されてから給油ができる仕組みだそうです、給油開始のタイミングにばらつきがあると思っていたら、これが原因でした。

作業着、軽トラ、携行缶であれば犯罪的な使用に使われることは無いと思いますし、購入側、GS側両方にとって手間が増えるだけのうんざりする改正です。購入者の多くは、高齢者なので負担が大きいかなり面倒に感じるはずです。GS側も、手間に対する見返りはないので、人員不足で断るお店もあるようです。(将来的には有料化もありそうです、その場合、下記の大容量化、複数持ちの方法が現実味を持ちます。)

この手間を軽減するために、携行缶の大容量化(この場合、重くて扱いにくくなる)、もしくは、携行缶10リットルを買い足して複数持ちで、GSでの給油頻度を減らす方法を考えました。

複数待ちの場合、片方が空になれば、様子を見て自動車給油のついでに余裕をもって給油ができるので好ましいと思います。ガソリン使用のピークは夏で、冬は全く使いません。ガソリンの使用期限として、3-9か月とあるので、悪い環境で無ければ1年は大丈夫なのかと思いますが、これを加味してほどほどの容量がいいのかもしれません(経験豊かな高齢者によると、しっかりとした(機械)容器に入ったものであれば時々機械を動かせば詰まることはないから使用期限は気にしなくて大丈夫という話もあります)。これだと、使用頻度の少ない耕運機のガソリンは1年以上経って使用していることはよくあることなので2-3年は無理という認識でよさそうです。

実際のところ、10リットル携行缶は満タンだとかなり重く持って注ぐのが大変です(2リットルペットボトル5本分を両手で持って一気には出ない蛇腹ホース先からの注入を静止して約10-20秒保持するので大変さが伝わると思います)。20リットル(満タン時2リットルペットボトル10本分)では重すぎて注ぐのは無理です。

結局、記入は省略ができるのがわかりましたし、携行缶が空になっても機械の方ではすぐに必要とはならないので、このまま10リットル缶1つで十分という結論になりました。

ここまでは、ガソリンの携行缶での購入が大変になったという話なのですが、その裏で、法改正があったわけではないのに、ガソリンの処分が購入以上に深刻な状況になっていました。(以前は、ガソリンスタンドの善意で成り立っていたということになります)

私の場合、刈払い機が複数あり(刃の交換が大変なので、チップソー用、ナイロンコード用、親の小型の3台あり)、草刈シーズンが終わると、翌年詰まってしまわないようにタンクに残った混合ガソリンを抜き取って保管するのを習慣にしていました。

そのため、500ccもない量の混合ガソリンがゴミとなるのですが、以前は、近所のガソリンスタンドで、廃液処分のタンクがありそこに捨ててくれという感じで手軽に引き取ってくれました。その記憶があったので、2-3年前に、同店舗に同じように少量の混合ガソリンを持ち込んだところ、ガソリンの引き取りはできないと断られ、予想もしなかったためどうすればいいんですかと質問したら、気化するから置いておけば無くなるというような回答でした。その時はどうしようもなく、100ccちょっとだったので持ち帰り自宅敷地の土に吸わせて処分(ベンゼン残留問題あり)してしまいましたが状況が以前とは違うことがわかりました。下水に排水として流すのも無責任です。

その後、その店舗が閉鎖してしまった都合もあり、翌年、ガソリンの処分を近隣のガソリンスタンドのいくつかに電話で問い合わせたところ、全部の店舗で断られる事態になり、納得がいかず消防署に電話して販売元が引き取る義務があるのではないかという質問をしたのですが無いという回答をもらいました(参考 ホームセンターで売っているセメント、コンクリート製品も購入は安価ですが、同様に処分は産廃扱いで非常に困ることになります)。

そこで諦めていたのですが、事態に納得がいかず、今回ネット検索をしたところ、

ガソリン携行缶の落とし穴(追記2021/02/27)

というブログ記事を見つけ同様(こちらは携行缶の内容物なので数リットルという違いはあります)に、ガソリンスタンド、市役所という感じでたらいまわしという状況というのがわかりました。全国、同様に廃棄で困っているようです。京都アニメ放火事件の影響で間違いないでしょう。

というわけで、最終的に望がありそうなのは環境事業所というヒントをいただけたので以下の内容のメール相談をしてみました。

 

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ご多忙のところ失礼します。○○と申します。

自宅で刈り払い機で使った古い混合ガソリンおおよそ500CC程度の処分についてなのですが

以前は、ガソリンスタンドで、気軽に受け取り処分してもらえたのですが

京都アニメ放火事件後の消防法の改正で、携行缶購入時に手間が増えたのと同時に

処分を受け付けてくれるガソリンスタンド(以降GS)が無くなりました

○○では、〇〇町のGSで、20リットルまで金属缶に入れて2万円で処分します(少量も同額)。

他の2-3件のGSは、受け付けないという回答でした。

以前、消防にその話を相談したら、処分を受け付ける義務はないという回答でした。

どこの自治体も同じらしく

ttps://nbox-life.com/2021/02/27/gasorin-haiki/#vk-htags-c2042919-66a9-4c53-a0eb-a8848d6dc80e

ガソリン携行缶の落とし穴(追記2021/02/27)

というたらいまわしな感じになる様です。

上のブログでは、クリーンセンターのほうで受け入れ先を紹介されて解決されていますが、

仮に受け入れ先が無く、GSや市役所、消防、クリーンセンターに相談して解決できない場合

ペットボトルに入れて、可燃物として出すという方法が選択されそうな気がします。

もしかするとその方法が正解なのか、もしくは非常に危険な行為なのかわかりませんが

まっとうに処分する窓口を用意しない行政が悪いとして、(私はやりませんが)モラルのない人はやってしまう気がします。

そのガソリン事故の当事者になるのがクリーンセンターの現場の方になるので非常に危険かと思います。

現状、以前の様にGSが受け入れない時点で無責任廃棄によるガソリン事故が起きやすくなったのではないかと思います。

行政の方で、GSに電話した時点で、処分できるような仕組みをつくっていただければと思います。

以上は要望になります。

 

すみません、本題として、古い混合ガソリンを処分したいのですが、上記の様に処分先が見つかりません。

どうすればいいのかわからないのですが、ご回答をお願いします。

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という質問をしたところ、ブログの方と同様に、産業廃棄物処理業者等を紹介されましたが500cc程度であれば、センターと取引のあるガソリンスタンドで受け入れてもらえるという紹介をいただけました。

現状、環境処分場(センター)に問い合わせて、無料で受け入れてくれるガソリンスタンドを紹介してもらうというのが唯一まともな処分方法となっている様です。

処分先が見つかりましたが、刈払いを業者にお願いしたり、最近普及しだした電動の刈払い機(軽作業用)を使い始めたりと、個人的にはガソリン処分を必要とする状況を脱しつつあります。

思うところは、センターに宛てたメールに書いたので省きますが、京都アニメ放火事件の影響がこういうところに変化をもたらしているというのは広く知られるべきでしょう。ガソリンの小規模廃棄について、実情、(上の例外を除いて)以前のような受け入れ態勢ができていないということになります。

 

(ガソリンの怖さについて)

100cc程度を気化で処分するという方法を紹介されましたが私はやりませんでした。理由は非常に危険だからです。

以前、農業で許される野焼き(枝を山積みにしたもの)で、火をつけるとき、通常であれば灯油を使うのですが用意し忘れたため、刈払いの燃料である混合ガソリン(ガソリン50:オイル1の比率なのでほぼガソリン)を100ccほどをかけて灯油の感覚で、距離も取らずにライターを近づけたところ一気に爆発しました。ゆっくりと火が付く灯油と違い、ガソリンは発火すると一気に気化爆発するのでボウッという音とともに火の塊が一瞬で発生するのと同時に、可視できる火の周りに見えない熱波と衝撃が発生するので、火と距離があってもやけどをするレベルの熱(実際は焦げるので火なのかもしれません)が一気に襲ってきます。幸い、眉を焦がす程度で済みましたが本当に危なかった、ガソリンは危険なんだなというのが身をもってわかりました。

気化で処分というのは、万が一に発火した場合、気化爆発が起きるわけで良い方法ではありません、火は、可視できないところでも発生した熱・熱波で被害を生んでいるので見た目以上の怖さがあるというのがなんとなくわかります。